フリーランスエンジニアの節税策3選+α

フリーランスエンジニアという職業はあまり経費が発生しません。

経費がかからないということは売上のほとんどが利益となるのでそれ自体は良いことなのですが、いざ納税となった時にその納付額に愕然とする人も多いようです(筆者もその一人)。

「税金払いたくないけどよくわからないし仕事で忙しいから」と何も考えずに納税していませんか?

納税は国民の義務である一方、節税は国民の権利です。

これから紹介する節税策は当然どれも合法で、更に国が用意してくれているものばかりです。

今回は、最近フリーランスになったばかりの方や、将来フリーランスを検討している方などにお勧めの、絶対にやるべき、または検討すべき3つの節税策について解説していこうと思います。

対象読者
  • フリーランス・個人事業主の方(法人については今回は触れません)
  • 最近フリーランスエンジニアになったばかり、または転身予定の方
  • 「税金とかよくわからないけど節税したい」という方

本記事の内容はフリーランスエンジニアの目線で書かれています。同じ個人事業主でも他の業種の方には当てはまらない場合もあるかもしれませんのでその点はご了承下さい。また、記事の内容には細心の注意を払っておりますが誤りがございましたらコメント欄にてご指摘頂けますと幸いです。

フリーランスエンジニアの節税対策3選+α

そもそも納税額はどうやって決まるのか

今回は税金についての解説ではないのですが、これから紹介する節税策がなぜお勧めなのかを理解する上で知っておくべきポイントですので、ざっくりとですが説明しておきます。

課税所得と納税額

先ず「課税所得」と言うものを算出します。

課税所得とは、売上から経費と各種控除(後述)を引いた金額のことを言います。

売上 ー 経費 ー 所得控除課税所得

その課税所得に、課税所得に応じた税率を掛けると納税額(所得税)が算出されます。

課税所得 × (※1)課税所得に応じた税率(5%〜45%) ー (※1)控除額 = 納税額(所得税)

(※1)税率と控除額は国税庁ホームページの速算表を参考にしています。

例えば、売上600万経費100万控除48万(基礎控除のみ)の場合以下のようになります。

売上600万 ー 経費100万 ー 所得控除48万((※2)基礎控除) = 課税所得452万 
課税所得4,520,000円 × (※1)税率20% ー (※1)控除額427,500円
納税額(所得税)476,500円

(※2)基礎控除とは、一定の高所得者を除く全ての人に与えられる所得から引くことができる金額です(所得控除については後述します)。

納める所得税は476,500円にもなります。会社員の時は源泉徴収で自動的に引かれていたのであまり実感がなかったのですが、個人事業主の場合、自ら納税額を申告して納税するので結構なインパクトがあります。

経費を安易に増やそうとしない

節税しようとして、特に必要の無いものを購入して安易に経費を増やそうとしてはいけません。それは節税ではなく単なる浪費です。

前項で説明した納税額の算出フローを理解していないがためのよくある勘違いですが、

経費の金額分まるまる納税額が減る訳ではありません。あくまで経費は所得を減らすものです。

また、仕事に全く関係の無い家事費(家庭食費や趣味娯楽費など)を経費に計上しようする人がいますが、それらはそもそも節税ではなく脱税になる可能性があります。

経費は「売上に貢献していることを説明できるかどうか」をよく考えて計上するようにしましょう。

ポイントは各種所得控除

課税所得の算出で敢えて水色で強調しておきましたが、後述の節税策を使って如何に各種の所得控除を増やせるかが今回のポイントです。

特に経費が限定されるフリーランスエンジニアに取っては控除こそが節税の主役と言えます。

では、そもそも所得控除とはどのようなものでしょうか。

所得控除とは

所得控除は大きく2つに分けることができます。

  • 人的控除 > 配偶者や子どもを扶養しているなどの個人的事情を考慮した控除
  • 物的控除 > 社会保険料、医療費などの支出に対する控除

人的控除は扶養する配偶者や子どもがいるかいないかなどの個々人の各種事情によるものなので、急にどうこうできるものではありません。

一方で、物的控除は個人の裁量によって活用することができます

次に紹介する3つの節税策の内2つは物的控除に該当します(1つ目の青色申告特別控除はどちらにも属さないその名の通り特別な控除になります)。

無駄遣いにならず、脱税にもならない、更には資産にもなり得る

そんな素敵な控除が実はあります。

せっかく国が用意してくれているメリットが多いお得な制度ですから、積極的に活用して賢く節税していきましょう。

3つのおすすめ節税策

結論から言ってしまうと以下の3つです。

  1. 青色申告特別控除(65万円控除)
  2. 小規模企業共済
  3. iDeCo(個人型確定拠出年金)

これらはITエンジニアに限った話ではなくどんな職業でもお勧めなのですが、経費が少ないITエンジニアにとって、特に積極的に活用してほしいものばかりです。

それぞれ解説していきます。

1. 青色申告特別控除(65万円控除)

②と③の制度については、売上が少なかったり現金に余裕が無い場合は慎重に検討した方が良いのですが、①青色申告特別控除に関しては業種・職種を問わず絶対にやるべきと言い切れるくらいお得な制度です。

青色申告&電子申告で65万円控除をゲット!

令和元年度まで青色申告特別控除額は65万円でしたが、令和2年度から55万円に減額されてしまいました。

しかし、e-Taxで電子申告を行うことで65万円控除を認めてもらえるようになります。令和2年度から基礎控除が38万から48万に増額されているので、令和2年度以降は電子申告にするだけで10万円控除額が増えることになります。

エンジニアだったら紙なんかよりPCの方が楽だと思うので楽勝ですよね!

白色申告にメリットはほぼ無い!

青色申告より簡単と言われている白色申告を選択する人も未だに多いと聞きますが、一昔前から白色申告のメリットは大分薄れています。

と言うのも、白色申告であっても帳簿作成が義務化されており確定申告書と一緒に提出する必要があるからです。

単式と複式という記帳の仕方に違いはあるものの、会計ソフトを使用すればどちらを選択しても手間は大して変わりません

白色申告は10万円しか控除できませんが、ちょっと頑張る(大して頑張る必要もない)だけで控除が55万円も増えるわけですから、「青色申告&電子申告」一択と言えるでしょう。

会計ソフトを使えば複式簿記も楽勝!

青色申告は「複式簿記」という記帳の仕方をしなければなりません。ガチでやろうとすると簿記3級程度の帳簿の知識が必要になってきます。

しかし、会計ソフトの力を借りれば会計の素人でも確定申告書や青色申告決算書を作ることができます。

報酬の入金、通信費の支払い、PCの購入費など、一つ一つの取引を日付・金額・勘定科目などを入力するだけで、自動で「借方」「貸方」という複式簿記の形式に自動で変換して記帳してくれます。

以下の3つが有名かつおすすめのサービスです。

いずれもクラウド型でブラウザで操作できるので macOS でも問題なしです。

ちなみに筆者は freee を愛用しています。筆者も会計の素人ですが freee を使って過去2回の確定申告を乗り越えています。

使っていると多少わからない言葉も出てくるかと思いますが、ちょっと調べればすぐに答えは見つかります。

調べるのが仕事と言っても良いエンジニアにとっては朝飯前です(プログラムのエラー原因調べる方がよっぽど大変です)。

開業時の「所得税の青色申告承認申請書」の提出を忘れずに!

さて、青色申告にすれば良いということはお分かり頂けたと思いますが、実は税務署に「所得税の青色申告承認申請書」という書類を提出していないと、そもそも青色申告を認めてもらえません

開業日から原則2ヶ月以内に提出していないと強制的に白色申告となってしまいます。

これからフリーランスエンジニアに転身予定の方は開業届と一緒に提出しておくことをお勧めします。

2. 小規模企業共済

小規模企業共済とは?

中小企業基盤整備機構という独立行政法人が運営する、個人事業主向けの退職金積立制度小規模企業共済です。

毎月1,000円〜70,000円の掛金を拠出し、65歳以上になった時や事業を廃業した時に「共済金」という形で受け取ることができます。

掛金は途中で増減することができますので、先ずは10,000円からでも始めてみると良いでしょう。

尚、任意解約や加入期間が少ないと元本割れする場合がありますので、共済金の受け取り条件等をよく確認してから加入することをお勧めします。

加入条件や共済金の受け取り条件などについての詳細は中小機構のホームページで確認してください。

掛け金が全額所得控除になる

一年間に拠出した掛金は全額を所得から控除できます。例えば、毎月30,000円ずつ、年間360,000円拠出した場合、課税所得が360,000円減り、結果として納税額が減ることになります。

つまり、貯金しながら節税できるという訳です。

銀行預金とは違って自由に引き出すことはできませんが、原則元本割れせずに年利1%〜1.5%程度で運用されるところも魅力的です。

3. iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

個人型確定拠出年金(愛称iDeCo)とは、公的年金の不足分を補うことを目的とした年金制度です。

「年金」とついていますが、終身で受け取れる訳ではなく、小規模企業共済と同じように積み立てた金額と運用成績によって受け取れる金額が決まります。そのため年金というより投資に近い制度です。

掛金は毎月最低5,000円から、個人事業主の場合68,000円まで拠出することができ、原則60歳以上になったら受け取ることができます。

掛金は変更できますが、年に1度しか変更することができません。

掛け金が全額所得控除になる

小規模企業共済と同じく、掛金は全額所得控除になります。更に運用で得た利益には税金が掛かりません

非課税で投資しながら節税もできるという感じでしょうか。

iDeCoの概要については厚生労働省のホームページや、銀行や証券会社などの様々な金融機関で紹介されていますので制度の詳細についてはそちらでご確認ください。

なお、筆者は理手数料の安さや運用商品の豊富さなどからSBI証券を利用しています。

また楽天経済圏を活用したい方楽天証券もお勧めです。

その他の節税策はあるのか

経営セーフティ共済

中小機構が運営しているもう一つの共済制度として「中小企業倒産防止共済(通称:経営セーフティ共済)」という制度があります。

取引先の倒産等で資金難に陥ったときに、予め掛金を積み立ておいた金額に応じて貸付を受けることができる制度です。

掛金は全額損金に計上できる

掛金は控除ではなく経費扱いとなり、全額を損金として経費計上が可能です。国民健康保険料の算定には控除部分が反映されないので、その点経費に計上できるところは有利に働きます。

ただ、小規模企業共済のように運用はされないので利息は付きません。また一定の加入期間を経ないと元本割れする場合があります。

銀行預金のように簡単に引き出せませんが、貯金しながら経費計上できるというところが最大のメリットです。

フリーランスエンジニアが加入するべきかどうか

制度の基本趣旨は倒産の防止です。フリーランスエンジニアという職業柄、固定の企業の仕事に依存しているという方は少ないのではないかと思います。

経費計上で節税できる点は大きなメリットですが、倒産防止という観点ではメリットを享受しにくいかもしれません(実際、加入者の多くは節税目的がほとんどのようです)。

利息が付かない点などを考慮すると、経営セーフティ共済よりも小規模企業共済とiDeCo加入を優先した方が良いでしょう。

法人で小規模な別事業を行なって社会保険料を節約する

所得税ではなく、国民健康保険料厚生年金保険料の話になりますが、社長一人の小さな法人を立ち上げて社会保険に加入し保険料を下げるという方法があります。

裏技的な方法ですが、完全に合法です。

会社員などが加入する社会保険料(健康保険・厚生年金)は、給料から算定される標準報酬月額という基準を元に決まります。給料が多ければ多いほど納める保険料も上がる仕組みです。

個人事業主は通常、国民年金保険料と国民健康保険料を納めます。

本業のエンジニア業務(個人事業)とは異なる小さな事業(例えばブログ等)を法人として行い、3〜4万程度の最低限の役員報酬を受け取るようにすると、最低ランクの標準報酬月額で社会保険に加入でき、保険料を最低限の額に抑えることが可能です。

厚生年金保険料は納めた金額によって受け取れる金額も増えるので一概に良いとは言えませんが、健康保険料は掛け捨てなので少なければ少ないほど良いのです。

国保には扶養の概念が無いので、配偶者や子どもを扶養している方には絶大な効果を発揮します。

但し、法人を作って維持していくのはそれ相応の苦労を伴うので、本業に支障が出ないように維持できるかよく検討することをお勧めします。

まとめ

納税額はどの程度変わるのか

最後に、紹介した節税策を利用した場合、納税額がどのくらい減るのか確認してみましょう。

先程と同じく、売上600万・経費100万・基礎控除48万の条件は同じです。これに青色申告特別控除(65万円控除)を適用し、小規模企業共済に月30,000円iDeCoに月20,000円掛けた場合の納税額は以下のようになります。

青色申告特別控除650,000円+
小規模企業共済360,000円+ 
iDeCo240,000円+ 
基礎控除480,000円
= 1,730,000円(所得控除)
売上6,000,000円 ー 経費1,000,000円 ー 控除1,730,000円
課税所得3,270,000円
課税所得3,270,000円 × 税率10% ー 控除額97,500 = 納税額(所得税)229,500円

476,500円から229,500円ー247,000円)に納税額を抑えることに成功しました。配偶者控除や扶養控除を適用できる方は更に納税額は下がるでしょう。

247,000円も納める税金が減り、節税のために投じた小規模企業共済などの掛金は引退後や老後の資産として残っている訳です。

適切な節税とは

以上、小規模企業共済などの効果的な節税制度を紹介しました。

どの制度も是非とも活用して頂きたいのですが、あまりに節税に躍起になって、現金に余裕が無いという状況に陥ることが無いように注意しましょう。

貯金がほとんど無いのに掛金を拠出し過ぎると急な出費に対応できません。解約して元本割れしてしまったり、借金して利息を払うようなことがあっては本末転倒です。

青色申告は現金があろうがなかろうが是非チャレンジしてほしいところですが、小規模企業共済やiDeCoについては、自身の財政状況を考慮して無理の無い範囲で掛金を拠出することをお勧めします。

結論

  • 節税したいなら青色申告&電子申告は絶対
  • 直近の生活に支障が出ない程度の生活防衛資金を貯める
  • 小規模企業共済 or iDeCo(両方でも可)に無理のない掛金を拠出
  • それでも現金に余裕があるならば経営セーフティ共済も検討
  • 国保も削減したいなら個人事業主兼社長という手もある

以上、賢く楽しみながら節税ライフを送りましょう!

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